維新派BLOG

ありがとうございました

中秋の名月かスーパームーンだか、とにかくその晩はものすごい月夜でした。
終演後の客席に並べられた、缶ビール、酎ハイ、串にささった月見団子。
気がついたら日付は千秋楽で、甘いソースのかかった鹿肉を食べていました。
 
翌日からはもう劇場のバラシがはじまり、
たった2日で、客席も舞台も消えていきました。 
ひと月ぶりになるはずなのに、違和感もそれほどなく電車に乗り、
作業場で荷下ろしをして、時々休憩をとりながら、
暗くなるころには各自荷物をもって、解散。
 
そうしていつのまにか大阪に帰ってきていました。
 
いまだに、公演って終わるんだなーとぼんやりしつつも、驚いています。
もしかして今度のこれは、終わらないのではないか、と思っていました。

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公演中、ご来場いただいたあるお客さんが、ツイッターで
「夢をみていたのか?」
との感想を書いてくださっていたのをお見かけしましたが、
終わってみると、まさしく9月のひと月は、夢でもみていたかのように過ぎていきました。
とはいっても、発見すること、驚くことの連続で、言葉にならないことがいくつもあり、
夢と言うにはあまりに濃密な時間だったように思います。

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朝、霧か雲かでまっしろになる山頂や、曲がりくねった山の道だとか、
じっさいに見るのは初めてだった、雲海(本当に言葉のまま「雲海」だったので、これも驚き)、
ナイターの照明が少しずつついていく様子、消える瞬間。
虫や鹿、舞台袖や宿舎でみた沢山の星や、足元の土と泥。
池みたいになっていたグラウンド。山登りをしたこと。
雨と台風とで色々と危ぶまれた月の前半の稽古。
雨漏り。一緒にいすぎると口癖がうつること。薄いパン。
思い返しても心打たれることの多く、今からするとこのひと月、本当に面白い場所にいたことでした。

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思い出すのは公演中、舞台から見渡した客席が、レインコートで色とりどりだった日のことです。
山に囲まれて気温は低く、こまかい雨が降り続くその日、走り回る役者に比べて、
当然ながら客席の方はほぼ2時間ものあいだ、座りどおしでした。
そこまでしても、ここにいる人たちはずっと観ていて、
そして遠いところから来ているのだと気づいた時、
維新派も、この作品もお客さんも、関わる全ての人、この場所、
ここにある何もかもが凄い、と思いました。しばらくの間忘れないと思います。

(衣川茉李)

kanpai